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建築家コラム・目次 [建築家コラム]

ゼロワンのスタッフによる「建築家コラム」。各スタッフが毎回交代で一人の建築家を取り上げ、独自の視点から、設計手法や建築作品をわかりやすく解説します。

vol.10 /「谷口吉生」 staff 戸田真
vol.09 /「安藤忠雄」 staff 中島永弼
vol.08 /「イタリアの建築家 カルロ・スカルパ」 staff maru
vol.07 /「村野藤吾、京都・都ホテル佳水園」 staff ハマグチ
vol.06 /「アルバ アアルト」 staff タカイ
vol.05 /「ガウディのデザイン手法」 staff みやけ
vol.04 /「松井 源吾」 staff なかの
vol.03 /「レンゾ・ピアノ」 staff うの
vol.02 /「リートフェルト」 staff 石村
vol.01 /「孤高の巨匠、ルイス・カーン」 staff たか


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建築家コラム vol.10/「谷口吉生」 [建築家コラム]

staff..戸田真..
谷口吉生(たにぐちよしお:1937~)

東京生まれ。慶応義塾大学工学部卒業、ハーヴァード大学建築学科卒業、建築学修士。
丹下健三・都市・建築設計研究所を経て、谷口建築設計研究所設立。父は建築家の谷口吉郎。

美術館、記念館、博物館等の建築で名声を浴び、数々の賞を受賞。
日本建築学会賞には2度も輝いている。(1979、2001年)
代表作には資生堂アートハウス土門拳記念館東京都葛西臨海水族園
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館東京国立博物館法隆寺宝物館などがあり、
そして、昨年11月にリニューアル・オープンを迎えたニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築の設計者として、いま世界中でもっとも注目を集めている建築家であると言えるでしょう。

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<東京国立博物館法隆寺宝物館>

そんな谷口建築の特徴は、やはり直線的な箱型の建物、緻密に計算された光と影、建物周囲に配された水や緑との艶やかな調和ではないでしょうか。
そして何を躊躇う事もなく堂々と聳え立ち、
いかにそこに『在る』かを定義付けるその表情。
それら完成後の事項に関しては、以前もコメントとして多少触れているので、
今回は少し違った形で谷口建築にやわらかく触れてみたいと思います。
・・・それに至る経緯の部分を含めて・・・
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建築家コラム vol.09/「安藤忠雄」 [建築家コラム]

staff 中島永弼
安藤忠雄(あんどうただお:1941~)

安藤忠雄氏、いまや言わずと知れた日本を代表する建築家。
氏の建築は、コンクリート打放しの壁、壁、壁、、、もはや代名詞ともいえる打放しの壁を、単純かつ大胆に、そして精緻に重ねて造り出されるものが多い。
しかし、なぜ打放しなのであろうか・・・
普通、コンクリート打放しといえば重たく、冷たさを感じる素材というイメージが強い。
しかし氏の作品の中に入り込んだとき感じるのは、そのストイックな表情の中に垣間見える光や風、自然の奏でる詩的な世界だ。
一見逆説的なストーリーだが、均一な、存在感の強い壁よりも、そこにできた間、空間に描かれる見えない線こそが氏の作品を建築へと昇華させていく。
そこには日本人独特の概念、侘び寂にも通じるものを感じてやまず、打放しでなくてはならない理由がそこに見え隠れしている。
また、大胆な動線のとり方にも、計算された緻密さが秘められている。
近つ飛鳥博物館のアプローチや真言宗本福寺水御堂などその最たるものだが、劇的な空間がいつもどこかに用意され、水の中に沈んでいくような感覚や、アールのついた壁で切り取られた吹抜けで得られる吸い込まれるような感覚は、見るものを半ば強引に空間の中に引きずり込み饒舌に身体へと訴えかける。
強い軸線を伴った幾何学的な平面、シンプルな構成に見えて複雑で大胆な仕掛けは、敷地にしっかりと根をおろした風景の一部になっていく。

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建築家コラム vol.08/「イタリアの建築家 カルロ・スカルパ」 [建築家コラム]

staff maru
Carlo Scarpa (カルロ・スカルパ:1906-1978)

住宅を始め、美術館、商業施設など、作品数は多くありませんが、イタリア国内に優れた作品を残した建築家です。さまざまな素材に対する洞察心をもち、ベネチアン・ガラスの工房の芸術責任者を47年間勤める程、ガラスに対しては特に情熱を注いでいます。ルイス・カーンがソーク研究所の計画に際し、彼に助言を求めたことでも知られています。

またスカルパは生前、2度日本を訪れていますが、仙台で客死していることは、意外と知られていないようです。

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建築家コラム vol.07 /「村野藤吾、京都・都ホテル佳水園」 [建築家コラム]

村野藤吾(むらのとうご:1891~1984)

スタッフ・ハマグチです。

2005年もまだ前半ですが、今年になって相次いで建築界の大家と呼ばれる方々が亡くなられました。フィリップジョンソン、丹下健三、清家清(敬称略)。それぞれ、享年98歳、91歳、86歳と建築家としての天寿を全うされています。

今から20年ほど前に他界された村野藤吾も、享年93歳と長生きをされた建築家の一人。しかも90歳を過ぎて尚、精力的に活動されていた点で、「おじいちゃん建築家」のイメージで記憶されている方も多い人物です。

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京都・都ホテル佳水園(かすいえん)
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建築家コラム vol.06 / 「アルバ アアルト」 [建築家コラム]

スタッフ タカイ
Alvar Aalto/アルバ アアルト(1898~1976 フィンランド)
欧州の最果て、生涯フィンランドで仕事をした建築家。旧紙幣(マルカ)に印刷されていたほどフィンランドの人々に愛された国民的英雄で、彼の作品は亡き後も世界の建築家たちに影響を与えている。中でもフィンランドの後続の建築家達に与えた影響は表面的なアアルト・スタイルというのではなくフィンランドの自然・風土に即したデザイン志向で、その原点がアアルトのデザイン姿勢にあるのではないかと思える。

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建築家コラム vol.05 /「ガウディのデザイン手法」 [建築家コラム]

スタッフ みやけ
Antoni Gaudi(アントニ・ガウディ:1852~1926)
ガウディ建築は曲線を多用した有機的デザインに見えます。
一見、複雑に見えるそのデザインは大まかに2つに分けることができると考えます。
1)力学的構造に基づく曲線
2)有機的ディテール、装飾

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サグラダファミリア受難のファサード
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建築家コラム vol.04 / 「松井 源吾」 [建築家コラム]

スタッフ なかの

松井源吾(1920~1996)
菊竹清訓や黒川記章、内井昭蔵、伊東豊雄を知っていても、「構造家」松井源吾を知る人は建築に携わる人々の中でもそれ程多くないことであろう。
早稲田大学理工学部51号館や、江戸東京博物館、世田谷美術館、シルバーハットの構造設計を行ったのがこの人である。

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構造設計とは、建物の架構(フレーム)の設計を行うことであり、建物の架構をモデリング→解析(通常時・地震時等での応答の検討)→構造図という図面に表現する。
構造設計者は、モデリングの部分においてその能力の差が現れる。
松井源吾は、幾つもの先進的な構造手法を用い、数多くの実務をこなしてきた構造設計者のパイオニアの一人であり、早稲田大学退官後、松井源吾賞を創設し構造設計者の育成・地位の向上にも力を注いだ。
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建築家コラム vol.03 / 「レンゾ・ピアノ」 [建築家コラム]

staff うの

Renzo Piano(レンゾ・ピアノ:1937~)
レンゾ・ピアノはイタリアのジェノバ出身で名門ミラノ工科大学を卒業している。
パリにある近代美術館ポンピドゥーセンター(1978~)や関西国際空港(1994~)が彼の作品として有名である。
ポンピドゥセンターは、計画当時パリ市民からはまったく評判が悪く、かろうじて賛成派の市民がかつてのエッフェル塔と比較をして援護するほど、パリ市民には簡単に受け入れることが難しい計画であった。「重さ何10トンもする大きな鉄骨をパリ市民が眠る明け方にトラック数台を連結してひっそりと運んだ」という今ではクスっと笑えるような逸話があるほどだ。
僕はパリ旅行の際にポンピドゥセンターを訪れることができた。「アートなんてわからない」と思っている人でもサクっとアートやデザインを楽しめるはず。パリに旅行の際にはぜひ、足を運んでみては。おすすめです。
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菊竹清訓とアート・ブレーキー [建築家コラム]

愛知万博が開催され話題となっている。
多くの建築家が参画し、パビリオン建築の祭典ともいえる万博は歴史的に見ても注目される建築が多く出現している。ロンドン万博(1851年)の「水晶宮」やパリ万博(1889年)の「エッフェル塔」のように、その時点における最高の技術を駆使した象徴的建築物が多く造られてきた。
今回の万博は近代化運動や高度成長時代とは違い「愛、地球博」エコロジーをテーマに新しい姿が期待される。その総合プロデューサーが菊竹氏である。
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■アートベレーキーとジャズメッセンジャース:ジャズの使者として半世紀にわたり活躍した。
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