今工事中の吉祥寺PJのシンボルツリーを決めに行って来た。
常緑で3階の窓からも見える樹高となると、意外と選択肢は少なく、今回は事前にクスノキあたりに狙いを定めていた。クスノキの生産(!)畑は成田から海岸のほうへ行った場所にある。同じような形、大きさの木がずらりと並ぶ。皆、主の幹がすっと垂直に立ち、整った樹形が整然と並ぶ様は、正に生産という言葉がぴったり。
そんな優等生が並ぶ中、一本だけ先が大きく枝分かれし、途中の枝も暴れるように乱れている木を見付け、迷わずその木を選んだ。さしずめ、農協なら、はねられてしまうのかもしれない。もともと、クスノキはまとまった形のものが多く、ちょっと物足りなさを感じていたので、何百本とあるある中、一本だけあったその木は出会いそのものだと思った。造園農家の人も造園業の人もちょっと驚いていたようだ。笑)。
成田から吉祥寺に移植するためには、根廻しと言って一年前から根を切るなどの準備をしておかねばならない。なので、来年完成の計画なのに今から木を選ばねばならないのだ。これぞ、「根回し」の語源。まことに用意周到な万全の準備、これなしだと、枯れてしまうリスクが高いらしい。

staff kobayashi
美容室Flash@渋谷 先日引渡しを完了しました!
テーマは 「やわらかく区切る」
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素材は白いエキスパンドメタルを使いました。
同じ規格のものを縦貼りと横貼りと
サンドイッチして壁を作っています。
この組み合わせは、モアレ効果の軽減が目的でしたが
仕上がってみると独特の模様が浮き上がってとても綺麗です。
幾重にも重なったエキスパンドメタル越しの人の姿は
店内のあらゆる場所で違った見え方をし
限られたスペースの中で奥行きが得られます。
カットスペース、シャンプースペースはそれぞれ区切られてはいますが
見られている気配を感じないほどの透け感で
店内全体を感じ取る事ができます。
こうする事のメリットは、もうひとつ。
「音」です。
オーナーこだわりの大型スピーカーから流れる音を妨げる面を
極力減らす事にも繋がっています。
お蔭様で最高の音響です!(スピーカーがいいモノなので!)
ジョイント部分はアルミのフラットバーを埋め込んで留め
両サイドのエリアから取り出し可能な雑誌が置ける開口を作っています。
床は墨モルタルと構造用合板で仕上げ
巾木はアルミのフラットバーを廻しています。
これで髪の毛も綺麗に掃けます。


慌ただしい日々でしたが、店舗のスピードは住宅とは違う楽しさがあります。
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アルキャストのグリル格子。装飾的なデザインが多く、うまく使われている参考例も少なくて、なかなか使う機会も勇気(?)もなかったのですが、ようやく使う機会がありました。
レースがかかったような柔らかな見え方が狙いで、日の光や照明の光などによって様々な影を落とし、時間や季節によって移り変わる深い表情が魅力的です。
今回のこだわりは、
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いかにフレーム枠をなくしグリルだけでスクリーンのように見せるかがデザインのポイントでした。フラットバーだけで細く細く、存在感を消すことに苦労しました。一般的な使い方である、フレーム枠の中にグリルをはめるようなデザインでは野暮ったくなってしまいます。
さらにスクリーン感を出すために、グリルと同じ柄をシルクスクリーンで印刷したアクリルパネルを組あわせ、ポジとネガの関係で対比させました。グリルは柄以外のところが抜けていますが、アクリル部分は反転して柄が白く抜け、夜間に光るようになっています。
エキスパンドメタル、パンチングメタル、木の格子、竹を編んだスクリーン、アイアンワークの格子、グリーンのスクリーン・・透けるスクリーンはいろいろあって、その時のデザインによってマテリアルを使い分けています。まだまだ、やりたいことはいっぱいありますね。
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浅草の駅から徒歩3分、隅田川の公園に面し、
正面にスカイツリーを望む絶好のロケーション。
この春に分譲開始されるRC14階建て、
免震構造のマンションの設計監理をしています。
とにかく広告がすごい。
テレビCMのような動画に写真のようなCG・・・・
http://www.tr3.jp/普段、注文住宅やコーポラティブハウスといった
住まい手の顔が見える住宅の設計が圧倒的に多い
ゼロワンオフィスですが、今回はデベロッパーとの仕事です。
色々な意味で新鮮で驚きの連続でもあります。
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やっぱり感じたのは価値観の違い。
端的に整理すると予想通りの
クレームをなくすこと、売れることを最優先する分譲マンションと
住まい手の快適さや楽しさを最優先するコーポラティブハウス。
デベロッパーの意見が強すぎて、何度も、時に激しくぶつかりましたが
共に住み手のことを真剣に考える所は、共通して一致していましたので、
ここまでたどり着きました。
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昨年夏に竣工したコーポラティブハウス『tradica』は、大きな土地を持つ地主の方から、「先祖から受け継いできたこの土地を大切にしてくれる人に住んでもらいたい」と言う要望にたいして、コーポラティブハウスを提案することで実現をした計画です。

相続対策で敷地全体を維持継承することが困難になり、やむを得ず大半を手放さざるを得なくなってしまった地主ですが、そこがさらに細分化されていくことに強く抵抗があったようです。敷地の一角に自宅を残す心積もりの地主にとって、かつての自宅の一角にミニ戸建て開発が行われたり、賃貸や分譲マンションになること対し、否定的な考えを持っておられました。とは言っても、大きな敷地に大きな一軒家を構えて、ずっと住み続けることの難しさを実感している地主にとって、大きな戸建てを期待するにも、可能性の低さと将来に対しては不安があるようでした。そうした中、正にコーポラ住宅と言うスタイルは地主にとって、思い描いていた理想の姿に近いものだったようです。すまい手の顔も見え、住まいに対する思いの深さもあり、将来すぐに再開発されるリスクも少なく、まとまった空地や緑などが末永く継承されるであろう住まいの形、漠然と追い求めていた思いを一気に解決してくれるのが、コーポラティブハウスだったのです。この計画は、すまい手だけではなく、元地主の夢をも背負った計画だったのです。
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実はこの計画は最初、地主の方は私どもも含め、何社かのコーディネート会社へ連絡いれたのです。すぐにアプローチしたのは私共ではない二社でした。そのうちの一社であった㈱タウン・クリエイションから共通の知人を通して、設計の打診を受け、共同パートナーとして一緒に地主のところへ出向いたところ、意気投合するような形で一気に話がまとまりました。ゼロワンオフィスとしては、初めての他社とのコラボレートでしたが、それぞれが単独で動くより、今回の様にチームを組むことで地主からのより強い信頼を得られたと聞いています。会社としては弱小、零細規模の多いコーディネート会社にとって、今後も各社の強みを生かしたコラボレートと言う選択肢は有効だと思いました。

さて、具体的な設計ですが、時代を経た庭木も多く、もはや個人の所有と言うよりは地域のシンボルにもなっている松の大木を、まずは保存しようと初めて敷地を見た時に決めていました。ほか、梅や楓など残せる樹木は残す配置計画をし、さらに外構計画において、武蔵野の面影を感じることが出来る里庭のように自然な緑を育てる環境をつくることを目指しました。建築的にも壁面緑化や屋上緑化に努めるなど、多くの緑に囲まれたコーポラティブハウスをテーマに計画をしました。

この建物は11世帯のコーポラティブハウスです。法的には共同住宅も可能な敷地でしたが、あえて長屋で計画をしました。効率よく共同階段などをつくるより、里庭を歩きながら自宅へ向かうほうが、イメージに近かった上、東京都安全条例による窓先空地などを設けるより、長屋で計画したほうが床面積も取れたからです。

既存の緑を守り、新たに緑を育てる環境をつくると共に配慮したのは、住宅街の中のスケール感、建物のボリュームを小さく見せることでした。本当は分棟形式にしてボリュームを小分けに出来ればよかったのですが、敷地面積的に無理であったので、東西30mあるボリュームを、戸堺壁を大きく跳ねださせたり、3階をセットバックさせるデザインとして、視覚的に建物を分断させ、大きな壁面をなくすデザインにしました。

コーポラティブハウスは、出来上がってしまえば分譲マンションやタウンハウスと同じ区分所有法が適用される集合住宅です。住まい方や入居者間のつながりなど、コーポラならではの特徴あるものも多いですが、むしろ通常のマンションとの決定的な違いは、つくられる「きっかけ」や成り立ちにあります。コーポラティブハウスの幅広い可能性と魅力を知っていただければ思います。
なお、ゼロワンブログのカテゴリーに設けている
tradica[吉祥寺]から、プロジェクトの進行状況をご覧頂けます。建設組合のイベントや工事中の現場の様子など、コーポラティブハウスはどのように出来上がっていくのか、ブログで紹介していますので、こちらも合せて読んでみて下さい。
■tradica[吉祥寺](ゼロワンblogカテゴリー)
http://01blog.blog5.fc2.com/blog-category-23.html
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staff fujita

ちょっとした気遣いを自然にできる人はすてきだなと思うのですが、これは建築においても当てはまります。ちょっとした(時には大きなものもありますが)気遣いをさりげなく形にする。もちろん見た目も美しく。そうしてつくられたものは、シャンとした中にどこか優しさを感じます。
ゼロワンの設計においてもそこは目指すところであり、気をつけています。では、具体的にどこか?
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書こうとして一瞬戸惑いました)笑
ネタがない訳ではなく、それは時にマニアックな話だったり、ミリ単位の気づくか気づかないかといった、とても地味な話になってしまうからです。もしかしたら無意識にやっていることもあるかもと思い、思いついたことから不定期に書いていこうと思います。
さて、ここでちょうど目についた「目地」について。イメージしやすいのはタイルとタイルの隙間に入っている目地だと思いますが、化粧として入れる目地もあります。トップの写真はコンクリート打放しの壁を自立しているかのように見せるため、天井に目地を入れています。目地を入れることにより、壁がすっと上まで伸びているかのように見えます。

これはコンクリートの壁面に2本の化粧目地を入れた例。何もないと少し無骨な印象があるため、アクセントとして入れています。
「化粧目地」には、ものとものがぶつかる部分の勝ち負け(どちらを強く見せたいか)をはっきりさせるための効果、視線を落とす・ラインを出す等変化を付ける効果があります。

これは「(ひび割れ)誘発目地」を床に入れています。モルタル仕上げにすると、どうしてもクラック(ひび)が入るため、そのクラックを誘発する目地のことを言います。これがないと、クラックは自由奔放に入ってしまいます。
「目地」だけでも話が広がりそうですね!
今後シリーズとして繋げていくのにちょっと安心しました^^
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次のコーポラ、まずは目黒区原町プロジェクトでゼロワンオフィスがやりたいことは、「一家に一本の自分の樹」を持とう!と言う「グリーン・ニューディール」計画です。

ご存知ニューディール政策は、アメリカのルーズベルト大統領が先の世界大恐慌時に行った、ばら撒き?財政主導型の経済対策。“New Deal”とは、トランプゲームなどで、親がカードを配り直すことと言う意味だそうですが、「ゼロワン版グリーン・ニューディール」とは、言葉そのまま「緑を新しく配する」つまり、入居する人たち皆に記念樹を配ると言うか、自分で選んだ樹をそれぞれ植えようと言う計画です。季節と共に表情を変え、時間と共に成長する樹木、建物も同じように時を経て味わいを増して行く、そんなコーポラを作りたいです。
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自宅のドライエリアにエゴノキを植えたのですが、自分の樹木があるって言うことが想像以上にうれしいことだったので、もっと多くの人にも知って欲しいと思ったのです。今までも、樹木はシンボルツリーとして各プロジェクトごとに植えてきましたが、今度はプラス、マイツリー人数分と言うことです!
実は今までは「マイ・ツリープロジェクト!」とオフィス内で言っていたのですが、オバマさんにちなんでネーミングの変更です。マイツリーと言ったほうがストレートで、わかりやすいのですけど、こっちのほうがちょっと、かっこいいかな、なんて思って。笑)
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ゼロワンオフィスのこだわりは表面的なデザインにとどまりません。
構造システムにもこだわっています。自由設計を最大限生かすべく、
そして、気持ちのよい空間を目指し、柱や梁のない薄肉ボイドラーメンをよく採用しますが、さりげないコンクリートの壁に見える壁一つを取っても、圧倒的な鉄筋量になります。この写真は壁の配筋ですが、建築の専門家であれば驚く写真だと思います。
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壁に見えるのは実は柱なのです。柱が50cmピッチで連続して壁に見える構造なのです。
壁に使う鉄筋の太さも20mm前後のものなので、ガス圧接と言うジョイントによっていますし、フープと呼ばれるリング状の鉄筋もあります。壁厚もスラブ厚さも30cmもしくは35cmと一般的なマンションとは比較になりません。シンプルな構造体は見えないところでがんばっているのですね。新聞チラシに入ってくる分譲マンションのチラシを見て比較してみてください。。

鉄筋はコンクリートの中に隠れてしまうけどとても重要な構造材。コンクリート打設前には必ず構造の専門設計者と共に配筋検査を行います。見えないところにもこだわる。これが設計事務所主導の仕事です。
これから始まる桜並木PJ.も同じ構造です。
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これはJ-patioの試験杭の立会いのときの写真。
杭がない場合は支持地盤を目視できます。実際に掘り終えた地盤まで下りて、その上を歩き土を確認できます。しかし、杭の場合の支持層は、はるか土の中なので、慎重な確認が必要です。
ボーリングと言う地質調査を事前に行いますが、広い敷地の中で一箇所か二箇所しか行いません。何しろ相手は土の中、実際の杭を打つ場所の地層が事前調査と同じかどうかはわかりません。
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そこで必要になるのが、試験杭。
杭に関しては設計図どおりに施工すれば、それで良しと言ったような単純なものではありません。事前調査に基づいて仮定、想定をした設計でしかないから、仮定が正しいかどうかの確認が必要になります。
方法は実際に杭を打つ場所の土の確認です。たとえそれが雨の日であろうと、泥まみれになろうとも必ず立会いの元、確認をします。幸い、今まで事前調査と大きく異なるケースはなく、設計どおり、もしくは、ほんの微調整ですんでいます。
これこそ、後では誰も見ることも出来ない基礎中の基礎部分。建築とは基礎から地道な積み上げ作業。見えないところにこだわるのもデザインの一つ。
自分自身の安心のためにも支持地盤の確認は避けて通れない。
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コンクリートはセメントと砂利と砂および水を混ぜたものを型に流し込んで固めるもので、その表情は型枠の表面で決まる。(強度は配合で決まる、実にデリケートな素材である)
つるつるの型を使えば、つるつるな表面、ざらざらな表面の枠を使えば、ざらざらな表面になる。よく見られる打放しはつるつるな表面が多いが、型に使うベニヤ板そのままではざらざらになってしまうため、型枠ベニヤに塗装を施す。かつてはベニヤではなく杉板を使い木目を出す仕上げも多く見られたが、最近では高価なためか、あまり見られない。
一見、ローコストに見える打放しであるが、型枠に塗装を施したり、きれいに仕上げるために新しい材料しか使えないであるとか、仕上がり表面を保護するために無色透明の撥水材を塗るなど、下手にタイルを張るより、よっぽどコストがかかっている。
とは言え、表情の自由があり、素材感を活かした仕上げは他に見当たらないので使わない手はない。今回のこだわりはその表情について。

■J-alleyエントランス部分の壁の表情
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コンクリートの壁によく見られる目地。これは型枠に細い目地棒を入れておくと、型枠と共にその目地棒をはがした時に細いスリット上の目地ができる。平らな表面の一部を凹ませるのは簡単なのだが、逆に出っ張った目地を作るには、出っ張らせるところ以外に木材などを入れなければならず、大変なのだ。よって、なかなかお目にかかることが少ないのが出目地と言える。
上のアレイの写真のような出目地で凹凸を作るには手間と材料が多く必要となる。この場合凸面の表面をわざと叩き壊しているのだが、ハツリ仕上げと呼ばれる仕上げ方法で、二重三重に手が込んでいる、こだわりの仕上げなのだ。
さらにこだわったのが、大きな曲面を描く小石川ウォールズの外壁。こちらはベニヤ型枠の内側に樹脂で特別に製作した三角状のリブ型枠を使った。
その表面を3人の石工がノミとハンマーで叩きだしたものだ。アレイは機械で叩いたが、こちらは人手によったので1ヶ月以上もかかった。
型枠に始まり、表面の仕上げにいたるまで人手による、なんともアナログな世界であるが、不思議なことにこのようなアナログなつくりには、そのつくってくれた人のぬくもりが宿り、コンクリートであるにもかかわらず優しい雰囲気になる。
打放し仕上げは失敗も許されないデリケートな仕事が必要になるが、その緊張感も好きだ。

■小石川ウィールズ外壁の表情:30m角もある外壁の一部のアップ写真
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