八方台登山口において登山カードをポストに入れ、熊に注意だの、ここは登山コースで自己責任だの云々書いてある立て看板の脇を抜けると、こんな感じのブナ林が30分ほど続く。木漏れ日がきれい。

樹林帯を抜けると、ぱっと開け廃業している中の湯旅館の廃墟に出る。硫黄の臭いが立ちこめ建物もそのまま残っている。この先まっすぐ山頂へ向かうルートが一般的であるが、僕らはあえて遠回りして、銅池からガレ場を通るコースを選んだ。このコース、持っている地図上では非正規ルート扱いで点線になっており、危険とあったが、ネットで調べると天候さえ良ければ、なんとかなりそうなコースだったので、時間と天候を確認の上、決行した。

写真は銅沼、ここから望む磐梯山は噴火口を正面に圧倒的な迫力がある。あんなところ、これから歩いて登れるものか?絶景を楽しむというより不安がよぎる。写真でこの迫力が上手く取れない。しかも、裏磐梯!そう、磐梯山を撮るにはいつも逆光になるわけね。

火口ヶ原から火山壁取り付きまではルート不明瞭で、ロープを頼りに進まなけばならない。周りは火山灰に埋もれた木や鉄砲水でえぐられた大地など自然の力の痕跡があちこちで見受けられる。途中、火山壁取り付き部が土砂崩れでルート崩壊していてルートが分断されていた為、戻るように大きく迂回せざるを得なくなった箇所もあった。

マーキングなどを頼りに何とかルートに戻ると、遠く先のほうでメキメキと言う不気味ながけ崩れの音。ちょっと離れた場所だけどガレが崩れているようだ。。。。生で聞くがけ崩れの音は恐怖につながる迫力があった。どおりで、正規ルートにしてないわけだと納得もするが、これこそが磐梯山の魅力。荒涼とした非現実の世界に魅了されっぱなし。

ずっと炎天下のガレ場ではなく、火山壁の中腹は樹林帯の中を登れるが、ほぼまっすぐ登るルートのため、途中は鎖や手摺りなどの整備がなかったら、登れないような急斜面も多くある。予想通り、連れからはこのコース危険すぎない?!と、愚痴が出始めたのもこのころ・・・笑)
横を見ると、本当に人の足ってすごいんだなあと感動するほど、高度が上がってるのが実感できる。遠く見上げていた火山壁が今は真横にあり、その痛々しい肌がすぐそこにある。

樹林帯を抜け櫛ヶ峰の鞍部からザレた尾根に出ると、雲の上の世界にワープしてきたような、下の世界とは別世界が広がります。これからしばらくは尾根伝いに横移動。



これぞ尾根という感じの両側が絶壁の先端のようなところも歩くので、突風が吹くとかなり危険なところもあるけれど、突然お花畑が開けたり、遠く下界のキャンプ地の池が見えたり、遠近ともにすばらしいビューだ。

いよいよ磐梯山の山頂へ。登頂した瞬間に正面にドーンと広がる猪苗代湖の大きさに思わず「ぅわーと」歓声が漏れた。次から次へと展開するシーンに感動の連続だったけれど、最後の最後に待っていたフィナーレはそれを上回る大きなインパクトがあった。ずっと裏磐梯にいたから、表磐梯があること意識してなかったけど、ここは本当に360度のパノラマ。初めてだったけれど、イメージ以上に良い所だったな、磐梯山。

そして、こんなところにも売店があるのはさすが100名山!冷えたビールをグビッとやって、お弁当タイムを経て、もう言うことなしなんだが、これで終わりじゃないのが登山。・・・・何が辛いって、下山・・・・山は登るより、降りる方がきつい。そのあと待ってるのは、テント。ご馳走もなければ、やわらかいベットもない。でも、この夜、林の中での月明かりの元、満天の星空の下で過ごした時間は忘れられない。。
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