チームの時代 [murmur語録]
産業革命以前は個人の時代、20世紀は組織の時代であった言われ、これからの情報化時代、21世紀はチームの時代ではないかと言われている。
個人的にも同じようなことを思いめぐらしていた矢先に、チーム2DKという設計事務所軍団と仕事をする機会が訪れた。それが西原プロジェクトだ。
スケッチを持ち寄り、ディスカッションを通じて、おのおのの個性の豊かさを実感したり、毎回、ブラッシュアップされていく案にお互いの信頼感や期待度は高まってきた。
Jazzの世界のように、個々の才能が尊重されつつも、ぶつかり合い、刺激しあい、単独で作る物とは違ったものができると期待している。
設計事務所はなぜか、一匹狼や小さなお山の大将が多い。よほど注意をしないと進歩や発展は望みにくいし、一人でできることには限界もあり、小さくなってしまう。他との交流が少ないのも独りよがりになりがちで、時間と共にしぼんでいく能力にあふれた人を多く見ていたので、僕は最初からスタッフを抱えた事務所にしている。今回は更に一歩次のステージに入っていくようで、設計そのものにも興味があるが、チームで設計していくと言う部分にも惹かれている。
アメリカの癌治療はさまざまな専門医がチームを組んでその最善の治療法を検討していくと言う。日本の場合はまだまだ組織病院と言えども、チームを組むのではなく基本的にはそれぞれの「科」が独立しているようなもので、決して内科系と外科系、放射線系の医師が対等に、自分の領域の主張、争奪戦ではない協力体制があるとはいえない。「科」は一つのチームになっているが、病院全体で見れば、これではチーム医療とは言わない。多くの科を抱えた組織ではあってもチームではない、組織とチームの違いはこのようなものである。
チームと組織は似て非なるものだ。
チームは全員で目的を遂行すべく協力し合うことが求められ、個々に能力があることが前提になる。個々が個性や能力を如何なく発揮すべく、全体を見た自分のポジションを明確にした上でスタンドプレーも許される空気とすることが大事なのだろう。