マンションの杭工事不正について [murmur語録]
マンションが傾いた!杭工事に不正があった、下請け構造が問題だと言う声がある。しかし、下請け構造は現実的に避けられない。これは建築に限ったことではなく車だってスマホだって、ハンバーガーチェーンだって広い意味では皆同じ。エアバックの問題も記憶に新しいが、ハイブリッド車のバッテリーだって、タイヤだって自動車メーカーが全て自前で作る事は非現実的。ゼネコンや自動車メーカー、それこそアイフォンのアップルだって同じことなので、大元はどの様に全体の品質を確保するのかのマネジメントこそが大切になる。建築の場合、他の業種に比べてそこの力量にちょっと遅れと甘さがあるように思われる。

フォルクスワーゲンの排ガス試験数値不正や東芝のように大元の会社が故意に不正を働くのは論外として、今回の旭化成の杭など、この手の不正を大元であるデベロッパーが見抜くのは不可能だろう、設計監理者も現状では難しい、当事者以外に見抜くことができる立場はゼネコンしかない。ゼネコンは設計者と一緒に試験杭にだけ立会い、残りの工事内容については書類確認と言うのでは設計監理者と変らない。日々現場に居るのであるから、もっと施工管理は出来るはずである、これは、行政も設計監理者も現実的に無理なところ。ゼネコンには協力業者のミスや不正を見抜けるようなマネジメントを確立して行く必要が求められるのであろう。もちろん、施工当事者の誠実さと所属する会社の管理と責任が一番重要なのは言うまでもない。
ちなみに姉歯のような構造計算偽装を見抜く為の対策は、「検査機関による構造計算書の2重チェック」「構造設計者責任を明確にし、罰則規定を設ける」と言う現実的な落としどころ。それでも余計な(?)費用と労力が増えてしまった・・・