建築家コラム vol.08/「イタリアの建築家 カルロ・スカルパ」 [建築家コラム]

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Carlo Scarpa (カルロ・スカルパ:1906-1978)

住宅を始め、美術館、商業施設など、作品数は多くありませんが、イタリア国内に優れた作品を残した建築家です。さまざまな素材に対する洞察心をもち、ベネチアン・ガラスの工房の芸術責任者を47年間勤める程、ガラスに対しては特に情熱を注いでいます。ルイス・カーンがソーク研究所の計画に際し、彼に助言を求めたことでも知られています。

またスカルパは生前、2度日本を訪れていますが、仙台で客死していることは、意外と知られていないようです。

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私がスカルパの存在を知ったのは学生の頃、彼の作品集を手にした時。
すぐに書店で購入し、今も自分の席に図面と一緒に並んでいます。
スカルパの作品の多くは、コンクリート、大理石、鉄など硬質な材料で構成されていますが、そこには温かさや懐かしさを感じます。他の建築家と比較しても、スカルパは細部にいたるまで息が抜けないほど細心の注意を払っています。ひとつの建築にかける情熱が大きい分、作品数が少ないのかもしれません。また繊細なディテールが柔らかな陰影を生み、陰影が緩やかな時間の流れを生み出しているかのようです。

この時代のモダニストと呼ばれる多くの建築家が機能美や国際様式を目指したのに対し、スカルパは時代の流れに身を委ねることなく、自らの道を探求しています。巨匠のひとり、ル・コルビジェが「これは美しすぎて建築ではない」と表していますが、装飾を否定したコルビジェの発言としては非常に興味深いです。

スカルパが好んで用いた格子の引戸や細部に施されるディテール、アクセントとして用いられる鮮やかな色彩を、私は和の伝統美とつい重ね合わせてしまいます。
和室の持つ緊張感、情緒、風情・・・言葉に置き換えると難しいのですが、そこに懐かしさや優しさを感じるのだと思います。

イタリアはもともと組石造の文化をもっていることも彼に大きく影響しているようです。
丹念に精巧に積み重ねられた素材。有名なオリベッティの階段は大理石をひとつずつ丁寧に積み重ねるように配されています。コンクリートの階段であっても同じように扱われています。
コンクリートも大理石も彼にとっては“無垢の素材”であり、コンクリートも鉄も素材そのものが無垢であることが彼の作品から伝わってきます。
ありふれた素材であっても、そのひとつひとつの表情を大切に吟味し、丁寧に扱っていくことが建築に息を吹き込んでいるのだと思います。

ディテールに対するこだわり、素材に対する探究心など、彼から学ぶものは、まだまだたくさんありそうです。

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コメント

スカルパは学生時代、授業で取り上げられたその日のうち作品集を買いに走った記憶があります。確か東條さんも同じこと言ってたような。。
  1. 2005/06/30(木) 13:28:58 |
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  3. 齋藤 #-
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