今だからこそ地鎮祭の意味合いを考える [コラム(blog版)]

地鎮祭とは建物の工事を始めるに当たって、工事の安全と建物の末永い神の加護を祈る儀式です。地鎮祭の歴史は古く、日本書記にはその記述がありました。実際に建築儀礼として認められ広く普及していったのは、江戸時代後半だと考えられているようです。現在でも、減りつつあるといわておりますが、まだ一般的に行われており、個人的な住宅の建築においても行われています。

地鎮祭のプログラムは、形式化された儀式ですが、施主にとっては、なかなか経験する機会の少ないイベントであり、各人それぞれの思いや個別のストーリーがあるものです。施主は鍬入の儀や玉串奉奠といった儀などに加わり、単なる参列者ではなく具体的に参加します。コーポラティブハウスのように共同で参加体験することは、儀式が参列者共通な固有の一つの記憶となり、この共通の体験や記憶は連帯感にも繋がっていきます。
本来、家を新しく建てるということは、街なみに加わることであり、景観の一部になるということです。地域文化の形成の一端を担う社会的責任ある行為が、最近では、家を建てるから、買う時代に移りつつあり、家を建てる意味合いが希薄になってきています。地鎮祭の体験を通じて、施主としての自覚が芽生え、社会的な責任と個人の喜び、家や街に対する誇りと愛着が増すことは、今の時代、ますます重要になるのではないでしょうか。

次に地鎮祭の流れと意味合いを一通り説明します。
最初に
***「手水」神事の会場に入る前に手水桶から掬った水で両手を洗い、心身を浄める。規模によっては会場の設営とも省かれることも多い。
***「修祓(しゅばつ)」祭に先立ち、参列者・お供え物を祓い清める儀式が行われます。
ここまでは、いわば準備のための儀式で、日常時間から離れ、儀式の世界へと導かれます。
***「降神の儀」によって祭壇に立てた神籬に、その土地の神・地域の氏神を迎え、いよいよ本番に入り、
***「献饌(けんせん)」神に祭壇のお供え物を食べていただく儀式。酒と水の蓋を取る。
***「祝詞奏上(のりとそうじょう)」その土地に建物を建てることを神に告げ、以後の工事の安全を祈る旨の祝詞を奏上する。
***「四方祓(しほうはらい)」土地の四隅をお祓いをし、清める。切麻(きりぬさ)・散米(さんまい)とも言う。
***「地鎮(じちん)」鎌(かま)を使った刈初(かりそめ)、鋤(すき)を使った穿初(うがちぞめ)、鍬(くわ)を使った鍬入(くわいれ)が行われる。設計・施工・建主に振り分ける事が多い。鍬入の儀とも言う。
***「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」神前に玉串を奉り拝礼する
***「撤饌(てっせん)」酒と水の蓋を閉じお供え物を下げことで、祭は終盤を迎えます。
***「昇神の儀」神籬に降りていた神をもとの御座所に送る儀式をもって、一つ締めくくられ、日常の時間へ戻ります。
***「神酒拝戴(おみきはいたい)」杯にお神酒を注ぎ、神職の合図で乾杯が行なわれますが、ここからは言葉も平常の言葉になります。
更に、地鎮祭の式次第が終了したら直会を行なうことも多々あります。
仏式の地鎮祭もあるようですが、神式で行われることが多く、かつ宗教的な意味合いはほとんどないと言えます。

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