大規模修繕をコーディネートする [プロジェクト進行中!]
staff 安藤竣工コーポラの管理組合運営サポートを行っています。組合総会等、入居者が集まる場に出席させていただくのですが、特に築年数10年前後のコーポラを中心に、「大規模修繕」についての話題提供をしています。
2005年竣工の【T-Treppe/桜新町】。
昨年10周年を迎え、入居者同士のコミュニティも成熟しているのを感じるコーポラです。今年開催した組合総会で、大規模修繕実施に向けた建物調査診断を行うことを提案し、合意しました。今期は、建物の劣化状況を細かく調べて、最優先で実施すべきことや、実施するのが望ましいことなどを洗い出していきます。

ここで、大規模修繕を計画的に実施するために作成する重要なものがあります。それが「長期修繕計画表」です。今日はその話を。
何年後にどこの修繕をいくらかけて行うかを計画し、表にしたものを「長期修繕計画表」といいます。10年後に足場を組んで外壁を補修して、20年後に屋上防水をやり直して、30年後に玄関扉を交換して・・・といったように、必要な工事項目とその工事費を積み上げていきます。そして、計画通りに修繕を行うにはいくらお金がないとダメか?というように、各住戸の月々の修繕積立金を決めていきます。ゼロワンオフィスのコーポラでは、竣工前の建設組合総会で長期修繕計画案と月々の修繕積立金案を提示し、建設組合で話し合って決定、とすることが一般的です。
長期修繕計画表は竣工前につくりますが、「つくったらそれでおしまい」というわけにはいきません。なぜかというと、工事費が変動したり、劣化の進み具合が想定と違っていたりして、当初の計画に対して現実離れすることがありえるから。どんなに慎重に検討しても、30年後の工事費は誰にもわかりません。10年後に更新するのが妥当な防水材が実際には劣化しておらず、次の修繕まで見送って問題ないということだってありえます。分かりやすいのは消費税でしょうか。10年前に竣工したコーポラは消費税率5%で計画していますが、現在は8%。これが将来もし10%になったとすると、税額だけ見ると倍になったことになります。
このように現実との違い(特に、計画よりコストがかかってしまう方への違い)が進むとお金が足りなくなり、修繕積立金の大幅な値上げや一時金が必要になります。こういったことが管理組合に突然降りかかることがないように、ゼロワンオフィスでは5年ごとを目安に、修繕計画を見直すことを管理組合に提案しています。
T-Treppeでも修繕計画の見直しを行いますが、今回実施する調査診断の結果が、その見直し検討の根拠となります。診断結果をもとに建設会社から修繕工事の見積を取得して、計画に反映させます。「もともと予定していた修繕を全てやりましょう」と機械的に決定するのではなく、管理組合の予算を把握しながら、また20年30年と先のことにも目を向けながら、修繕計画を立案することがゼロワンオフィスの役割であり、仕事の醍醐味だと思います。