FC2ブログ


建築家コラム vol.09/「安藤忠雄」 [建築家コラム]

staff 中島永弼
安藤忠雄(あんどうただお:1941~)

安藤忠雄氏、いまや言わずと知れた日本を代表する建築家。
氏の建築は、コンクリート打放しの壁、壁、壁、、、もはや代名詞ともいえる打放しの壁を、単純かつ大胆に、そして精緻に重ねて造り出されるものが多い。
しかし、なぜ打放しなのであろうか・・・
普通、コンクリート打放しといえば重たく、冷たさを感じる素材というイメージが強い。
しかし氏の作品の中に入り込んだとき感じるのは、そのストイックな表情の中に垣間見える光や風、自然の奏でる詩的な世界だ。
一見逆説的なストーリーだが、均一な、存在感の強い壁よりも、そこにできた間、空間に描かれる見えない線こそが氏の作品を建築へと昇華させていく。
そこには日本人独特の概念、侘び寂にも通じるものを感じてやまず、打放しでなくてはならない理由がそこに見え隠れしている。
また、大胆な動線のとり方にも、計算された緻密さが秘められている。
近つ飛鳥博物館のアプローチや真言宗本福寺水御堂などその最たるものだが、劇的な空間がいつもどこかに用意され、水の中に沈んでいくような感覚や、アールのついた壁で切り取られた吹抜けで得られる吸い込まれるような感覚は、見るものを半ば強引に空間の中に引きずり込み饒舌に身体へと訴えかける。
強い軸線を伴った幾何学的な平面、シンプルな構成に見えて複雑で大胆な仕掛けは、敷地にしっかりと根をおろした風景の一部になっていく。

20050720180806.jpg



最後に余談となるが、私の好きな彫刻家でイスラエル出身のダニ・カラヴァンというアーティストがいる。
ランドスケープなども手がけ、ペイザジスト=風景作家とも呼ばれている。
彼の造りだす空間も詩的で静寂にあふれ、安藤忠雄氏と共通するところが多く感じられて面白い。
建築と彫刻。
その領域は分けられて考えられがちだが、その目指すところは同じなのではないだろうか。
しんしんと饒舌に引き込んでいく空間、まだまだ学ばなければいけないことは多そうです。
20050720181012.jpg

「建築家コラム・目次」へ
URL: