05.低座椅子 [椅子の話]

staff 藤田


「椅子」ブログ5回目、
私が選んだ椅子は長大作デザインによる低座椅子です。

長さんが板倉順三建築事務所に勤務されていた頃、ある歌舞伎役者に老齢の母親がくつろげるような椅子をと依頼され、この椅子が生まれました。

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□低座椅子/製作年:1960年 サイズ:H65・W55・D68.3・SH29


特徴的な背もたれ部分の曲線は柿を切ったとき、断面に表れる力強い曲線に魅かれ、そのイメージに近づけようとしたそうです。

家具製作の際は1/1で図面を描き、幾重にも重ねた線の中から1番良い線を選ぶと言われているので、この曲線になるまでには相当な数の線が引いては消されていったのでしょう。

また、合板によるレールのようなフレームは力を分散し、畳を傷付けないように、座面高さ290mmというのは立ち上がるときに苦痛を感じず、座ったときにも長時間快適にとに考えられています。

椅子に座ると目線が低く、また足が伸ばせるので、ゆったり落ち着いた気分になります。ソファを背もたれにして、テーブルとソファの間に座る感覚にちょっと似ているのかもしれません。

和室はもちろん、リビングやロフトに置いても、床に座る/普通の椅子に座るときとは、また違う感覚が味わえると思います。

2年ほど前、世田谷美術館で展示が行われていたので、見に行ったのですが、長さん御自身もいらっしゃいました。Tシャツ姿でにこにこと、子供たちに椅子の説明をされている姿が印象的で、低座椅子から感じる温かい雰囲気と同じものを感じました。

85歳の現在でも精力的に活動されていて、絶えず自身の作品の改良を考えているとのことです。

作品である椅子にも、作者の仕事の姿勢にも魅かれます。

      
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