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07.artek60 [椅子の話]

staff 濱口

北欧・フィンランドを代表する建築家アルヴァ・アアルトのスツールを紹介します。artek社より販売されている「60」で、まず名前が「数字のみ」というところからスマートです。artek社はアアルト自身により設立された会社で、その他の製品名称も、数字もしくはアルファベットで名付けられています。

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■artek 60/制作年:1933 サイズ:W350Φ・H440

デザインは、まさにシンプルイズザベスト、飾り気のいっさい無い姿をしています。また白木の素材感と脚のラインがいかにも北欧らしいデザインとも言えます。この脚のラインですが、なんとアアルトの特許による「曲木」の技術により製作されており、別名「アアルトレッグ」と呼ぶとのこと。


「曲木」と聞いてまず思い浮かべたのが「トーネットの椅子」なのですが、調べてみると、アアルトのこの椅子よりもさらに100年も前に、木を曲げて椅子をつくっていました。とすると、何が特許なのだろうとさらに調べてみると、トーネットが木材を蒸して曲げる「熱間曲げ」に対し、アアルトの場合は「挽き曲げ」、木にノコギリで挽き目を入れて曲げる手法とわかりました。

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■挽き曲げ

この手法は、熱を入れて材を一度柔らかくする工程を踏まないため、より強度を保てる点が特徴のようです。また「挽き曲げ」のやり方そのものは、元々「そり」の先端部をつくる際に使われたフィンランド伝統の技術とのことで、まさに北欧家具の原点と言えるのではないでしょうか。

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スツールとしては、ぜひほしいスタッキング(積み重ね)も可能です(画像奥のようになります。)。また座面のバリエーションや、4本脚、子供用なども用意されています。
ちなみに3本脚より4本脚の方が丈夫だし、安定するだろうと考えがちですが、床面があまり平坦でない場合は3本脚の方が、全ての脚が必ず床に着くため、がたつきが起きにくく安定します。アアルトの椅子が3本脚からスタートしたところからも、日本人とは違う感性、石の床に靴を履いて生活するイメージを感じさせます。


家具制作鯛工房 (家具制作資料室/ベンディング):
http://www.tai-workshop.com/bend/bend-index.html
※かなり専門的ですが、「曲木(ベンディング)」の技術について、詳しく解説されています。ここで紹介されている「挽き曲げ」のイラストがアアルトのものと全く違う点が興味深いです。イラストのやり方は、日本でも木の箱(弁当箱など)をつくる際などに使うそうで、突然、日本の伝統技術ともリンクする点がおもしろいです。

artek社HP:http://www.artek.fi/

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