10.トーネット ロッキングチェア [椅子の話]
staff higuchi
1796年、ドイツのなめし革業者の家に生まれたミヒャエル・トーネットは、
指し物職人(板を組み合わせて机、たんすなどの器具を作る職人)の修行をした後、23歳で家具職人として工房を設立しました。
1830年、トーネットが34歳の時に曲木の製法を開発し、
成形合板の原型といえる積層材による椅子を発表。
手に入りやすく安価なブナ材を使い、パーツを組み立てることで
大量生産・大量輸送という近代システム構築の先駆者として活躍しました。
トーネットの曲木椅子以降、19世紀後半から20世紀前半にかけて
アールヌーボー、ゼセッション、デ・スティルなどの
芸術、建築の運動がはじまり、数多くの近代様式が生まれました。
良質なものを市民の手に届ける、良い意味での大量生産家具という
ものを生み出したトーネットの椅子は、多くの作品が今なお名作として
世代を超えて大切に使われています。