こだわりのデザイン--6:ルーバー手摺 [ゼロワンの設計を語ろう]
三茶ハウスの手摺はフラットバーを斜めに勾配を付けて横ルーバーとした。水平ラインを強調するデザインも狙いの一つであるが、単にデザインに留めず機能的な効果を一つ二つ狙ってみた。そのココロは、、、

■軸線をずらすことでより水平ラインを強調。雨も入るが(笑)光もいっぱい受け止められる。
下からの視線に対するプライバシーを考慮、逆に室中からの視線も間近にある隣家を見下ろすのではなく、遠くまで抜ける上向きにコントロールしつつ、光と風は透過させる。さらに、ここがミソ、冬の日が低い時は光を下へ反射させる「反射鏡」を作る試みがそのココロ。
フラットバーを53度の勾配を付けてルーバーとしたかったのだが、何かの手違いで45度になってしまい、反射鏡の効果は計算を下回ってしまったが、それでも地下の住戸から見上げたときに太陽が二つ見えた!直接見える太陽と手摺の中にある太陽! と言うことは、太陽光が反射して入り込んでいる証拠。それなりの効果はあったようだ。
そもそも、三茶ハウスは法的に言うところでは「長屋」。長屋は縦割りの住戸を連続させるのが一般的なイメージなので、ここでは、あえて長屋らしくない「ひとかたまり」の建物に見せたかった。実際、3階の住戸は間口12mの全てが開口部と言うフラット住戸だ。
そんな構成を外観デザインにも表現したかったことが、最初に水平ラインをモチーフにしたきっかけだったが、目線や光などのことを考えているうちに、こんな手摺にまで発展した。暗くなって、明かりが灯るとルーバー越しにもれる光も予想通り、きれいだ。

■見上げた所:室内の人影がほとんど消えている

■バルコニー側:下があまり見えない。太陽の光は十分入っている。冬、もっと太陽が低くなると光は下へ反射する。
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