どこにも書いてない建築法「例」集-2 [murmur語録]
地階における住宅の居室。その条件の一つ「からぼり(ドライエリア)」についての技術的基準がH12年に国から出ました。しかし、それにしたがって作ったけど、作り方によっては平均地盤面が下がる場合があるなんて大きな落とし穴です。そんなこと、どこにも書いてない。そのため、また行政ごとに判断基準が異なると言うことになってます。
ポイントは地盤面の計算をからぼりの下で取るのか、上でよいのか?
建物全体の設計にかなり大きな影響がある重要な問題です。

*地下室に必要なドライエリアの基準は施行令22条。今から書く判断基準はドライエリアと地盤面の算定基準の関係で法令集にはありません。 この手の話はかなりの法的な知識と実務経験のある人にしか理解できない内容かもしれません。
共通しているのは道路及び隣地境界線より50cm以上離しなさい、さもなければ下を地盤面と見ますよと言うこと。もちろん建物と一体の擁壁でないといけないのは、解説書にあるとおり。
都内でほぼ共通する基準にまでなっているのに、一般の人が見ることのできる書面はなく、行政の内部資料にあるのみです。建築主事会(と言う集まりがあるのですね。横のつながり)で決めたと聞いています。擁壁の外側で50cmと言われますが、あまり厳密ではない様です。
行政ごとの違いはからぼりの奥行き寸法による計算基準の相違。
目黒区は奥行き2mまでは上でよいが、それ以上となると下で取る。要は最大2m。
世田谷区も基本は同じだが、そこを窓先空地として利用する場合はその必要寸法までOK。と言うことで最大4mまで可能。
笑っちゃうのが向かい合わせで2件が共有するパティオのような場合で、それぞれ4mずつで8mまでOKかというと、これはだめで、中央に50cm幅の地面を地上レベルに作りなさいと言うもの。そんな壁みたいなもの作って地面を作ったと言い切って何になるのか?
杉並区においては奥行きの規定はないんじゃないかと思われる事例をよく見かけるので、再確認したところ、やはり基本は2mなのだが、有効採光に必要な奥行きまで認めるとのこと。(これも筋が通ったような通らないような、、、地下居室の場合、法的には採光計算は求められません)
地下の居室を認め、その居住性を確保するためにからぼりを義務化したのに、より居住性を高めようと広げることに規制をかけ、2mもしくは採光や窓先空地など法令の最低限寸法に規制する、基準法は最低限と言いながら、最低限度以上を認めないと言うことにも、ちょっと疑問が残ります。からぼりを広く取ったところで、喜ぶ人はいても迷惑を被る人はいないと思うのですが、、、
法の精神や解釈論を役所の人と交わしても、この手のものは区ごとの判断基準が確立されており、ほとんど勝ち目はありません。結局、その都度相談に行き、該当する役所の見解に従うしかありません。前例のない部分については考え方を説明?説得することで理解を得られることもありますけどね。