建築家コラム vol.01 / 「孤高の巨匠、ルイス・カーン」 [建築家コラム]
staff たかLouis I.Kahn (ルイス・カーン:1901~1974)
ルイス・カーンは、コルビュジェやミースほどの知名度はないものの、彼らとほぼ同時代を生きたアメリカ人建築家。建築史を語る上で欠かすことのできない巨匠の一人である。私も彼の代表作「キンベル美術館」や「フィッシャー邸」などはなんとなく知っていたが、今回この文章を書くために様々な文献を読んだ。そしてそれを通して強く感じたのは、「ストイックな建築家像」だった。

リチャード・ギア(?)を思わせるポートレート。そして、光の影のバランス。
カーンの生きたのはまさに建築デザインの潮流がモダニズムからポストモダニズムへと移行する時期と重なり、建築家達は自らが新しい時代を先導しようと躍起になっていた時代。しかし彼が求めたものは、そうではなく、時代に流されず自らの信じる「建築道」(あえてこう呼ぼう)を極めることであった。
『カーンの建築道』とは、『単純な幾何学図形(□△○)を使い建築の平面・立面・断面を構成し、その集合である空間の可能性を追求すること』だと思う。そしてそれがもっとも端的に実現されたのが一連のインド・バングラデシュの仕事だ。カーンはこれらの場所に国会議事堂や病院など、宇宙的な超越感をもつ幾何学的建築を設計した。のちに安藤忠雄もカーンの建築に対してこう答えている。「私がとくに賞賛するルイス・カーンの作品は、アーメダバードにある『インド経営大学』である。明らかに厳格で冷淡な幾何学の図式を用いながら、彼は地元の建築材料を使い、土地の文化と状況に敬意を払った点が見事な建築において、光と影の戯れを作り上げることに成功した。」というふうに。
・・・と、ここまで書いておきながら 僕はまだカーンの建築を理解できてない。なんというか、感覚的に伝わってくるものはあるのだけど、うまくコトバや文章で伝えられないもどかしさ。カーンは作品数こそ少ないものの、詩的な言葉をたくさん残したり、自らの建築について多くのことを語ったりした建築家。これから少しずつ読んでいこう。僕のルイス・カーン研究はまだ始まったばかりだから。
最後に、カーンの息子ナサニエル・カーンが監督として作り上げたドキュメンタリー映画をご紹介。タイトルは「MY ARCHITECT」。日本では劇場公開されていないけどDVDが出ているので、レンタル屋にはあるかも。ちなみに僕も見たいです。また、「カーサ・ブルータス(マガジンハウス)」や「HOME(エクスナレッジ)」から、読みやすいカーンの特集号が出ているので併せて読んでみてはどうでしょうか。



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