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菊竹清訓とアート・ブレーキー [建築家コラム]

愛知万博が開催され話題となっている。
多くの建築家が参画し、パビリオン建築の祭典ともいえる万博は歴史的に見ても注目される建築が多く出現している。ロンドン万博(1851年)の「水晶宮」やパリ万博(1889年)の「エッフェル塔」のように、その時点における最高の技術を駆使した象徴的建築物が多く造られてきた。
今回の万博は近代化運動や高度成長時代とは違い「愛、地球博」エコロジーをテーマに新しい姿が期待される。その総合プロデューサーが菊竹氏である。
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■アートベレーキーとジャズメッセンジャース:ジャズの使者として半世紀にわたり活躍した。 かつて氏が提唱した建築と都市の新陳代謝を図ろうとするメタボリズムのコンセプトなどが、今回の主題でもある環境の循環型社会のテーマに上手く展開されていくことだろう。
ところで、設計界では学校ではなく、どの設計事務所のOBであるかグループ分けをすることもある。出身事務所は○○スクールと呼ばれ、いくつかある中でも菊竹スクールはとりわけ有名だ。内井昭蔵、遠藤勝勧、仙田満、長谷川逸子、伊東豊雄、内藤廣、大江匡などなど、驚くべき顔ぶれだ。どこの大学の研究室もかなわない。門下生にこれだけの人を抱えると、その存在感は建築家、菊竹個人なのかスクールのドンとしての存在感なのか、どっちの意味ですごい人なのだか判らなくなる。本人が望んでドンになったわけでもないのだろうが、門下生の顔ぶれに負けない建築作品をつくり続けることは至難の業だろう。
まったく同じことがアートブレーキーにも言える。
ブレーキーはジャズメッセンジャースと言う名前のバンドで活動した。その名のとおりモダンジャズのメッセンジャーとして日本で始めてモダンジャズコンサートも開いて、日本にジャズブームを巻き起こしたと言われている。
このバンドは絶えず人が入れ替わっているが、そのメンバーの顔ぶれがこれまたすごい。クリフォード・ブラウン、ケニー・ドーハム、ハンク・モブレー、ホレス・シルヴァー、リー・モーガン、、、に始まり、ウィントンマルサリスに至るまでと、かかわっていない人を探すほうが大変なくらいだ。ブレイキーにスカウトされたら、大スターへの道は約束されたようなものといわれる所以である。キースジャレットのことを「そう言えば、若くて鳴らしてたやつがいたな。」と言ってのけてしまう貫禄には脱帽だ。彼も人材発掘に特別なエネルギーを使ったとも思えない、自分のバンドに必要と思われる人を必要なだけ集めた結果なのだ。
優秀な人材が集まり、大きくはばたく人材を世に送り出す存在、その手腕、人格、組織に求められるものは何なのだろう?
この2人以降、このようなドンの存在は見当たらない。
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